セロファンとは
今回はセロファンの特徴についてご紹介いたします。
目次
≪セロファンとセロハンは違う?≫
セロファンとセロハンは、同じもので「cellophane」の発音による違いです。
また、セロファン(同セロハン:以下セロファンに統一)以外では、透明紙と呼ばれることもあります。
≪セロファンの原材料について≫
一般的にセロファンは、石油製品だと考える方が多いようです。
実際には、パルプを主原料として作られた、環境にやさしい透明フィルムです。
では、セロファンの製造方法を大まかに言うと、パルプを溶解し化学処理を行いビスコースという溶液にし、凝固再生することで作ります。
≪セロファンのリサイクルについて≫
セロファンは、紙とは違いリサイクルすることが出来ません。
リサイクルが出来ない理由は、セロファンを製造する過程でパルプ繊維を溶かして、繊維性を完全に無くしているので、紙として再生できないからです。
そのため、セロファンの廃棄時は、可燃ゴミとして処理するのが一般的です。
また、紙として再生できないことから、リサイクル法の表示義務である識別マーク(紙マーク)の表示の必要はありません。
≪セロファンの特徴≫
セロファンの特徴は、生分解性のフィルムで、燃やしても嫌な臭いやガスが発生しないことです。
では、どのように生分解するかですが、土壌などの微生物(バクテリア)分解となります。
また、セロファンは発火点が420℃と高温で、プラスチックのように熱で溶けることはありません。
それに通気性と手切れ性があり、水分に弱く紙と同じような性質があります。
その他の特徴としては、静電気を帯びにくいため静電気特有の「ビリビリ、バリバリ」といったことを感じることは無く、「ほこりの吸着」などの問題が起こりにくいです。
静電気を帯電しにくい理由
主原料がパルプのため、紙と同じように静電気が帯電しにくいからです。
静電気が帯電しにくい性質を活かした使用例としては、薬の包装材などに使われたりしています。
通気性について
セロファンに通気性があるため、生鮮食品などを包装しても蒸れないことから鮮度維持の効果があります。
通気性と緩衝性を活かした使用例としては、果物などの緩衝材(セロパッキン)、灰干干物の製造時など、無くてはならないフィルムとして使われています。
手切れ性について
紙に似た性質から、簡単に手で切れます。
手切れ性を活かした使用例としては、セロハンテープがあります。
耐熱性について
セロファンは、発火点が420℃と高く、熱で溶けない性質があります。
耐熱性を活かした使用例としては、熱をかけて金属を曲げるときに、熱のあたる箇所にセロファンを巻き、変色防止目的などとして使われています。
紙の性質について
紙に近い特性を活かしたセロファンの使用例は、折り紙や3Dめがねです。
その他には、塗装用ヘルメットにセロファンを貼ることで、ペンキ汚れをセロファンに吸着し、ペンキの付着防止に使われています。
≪まとめ≫
戦前から広く使われてるセロファンは、安価な石油由来のフィルムの誕生により無くなると考えていました。
しかし、近年のSDGsの積極的な取組から、環境にやさしい素材の一つとして見直されるようになりました。
それは、生分解性・通気性・手切れ性・耐熱性など、セロファンの特徴と機能が、環境問題の取組に重要な役割を担う可能性を持っているからだと思います。
その一例としては、灰干干物があります。
近年は、食肉文化への移行に伴い魚の消費量が減少しています。
また、食品全体のフードロスが、昨今は問題になっています。
そこで、魚から取れる貴重な栄養素の摂取と、フードロス削減に繋がる、灰干干物が日本にはあります。
この灰干干物は、世界に無い日本の伝統食品でり保存食でもあります。
また、灰干干物で作られた特有の旨味は、セロファン無しには作ることができません。
SDGsを継続して行うためには、環境にやさしいだけでなく、灰干干物のように「美味しさ」と、「食品保存」といったように、多元的要素を重ねることも大事だと考える一例だと思いました。
今回は、環境問題を考える一助になればと思い、セロファンについて述べさせて頂きました。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。